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ベルーとボリビアにまたがる、世界最高地の水上交通網を持つ湖、チチカカ湖。

そこにはトトラと呼ばれる葦で出来ている島がある。 大小あわせて40程の島を一括してウロス島と呼ぶ。 小さい島では1家族くらいから、大きい島では300人程が住むという。

この島は以前、ウル族という被差別民が住む島だった。 差別の為、陸地での生活が出来なかったのだという。 現在では混血が進み純粋なウル族ではなくなっているため陸地で暮らすことも出来るのだが、 固定資産税がかからないためにここでの生活を望む人が多いらしい。

島はトトラという葦(アシ)を積み重ねて出来ている。 3メートル程積み重ねると完成で、下からトトラが腐っていくので、 周期的に上から積み重ねていけばずっと使っていくことができるそうだ。

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島に下りるとフワッとした感覚があったが、すぐに馴れた。 靴に水が 沁みてくるかと思ったが、意外と平気なことに驚いた。 その証拠に、子供達がごろごろ転がって遊んでいた。

トトラは島の床としてだけ利用されるのではない。 家を作るのもトトラ、カヌーもトトラ、釜の火もトトラで熾し、 さらに生のトトラはそのままでも食べることができる(あまり味はないが、ほんのり甘味があり食べやすい)。 島の人はトトラのあらゆる使い方を熟知し、最大限に利用して暮らしている。

電気はある所とない所があり、ある所は太陽発電を使っていた。 島によっては電話ボックスなどもあり、意外にも快適な暮らしをしているように見えた。

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上:トトラの家の平たいタイプ。右端にある黒い物がソーラー発電機。
image01 左:トトラのカヌー先にはピューマの頭をつけたりして遊んでいる。TITIKAKAのTITIはピューマなどの猫動物を指す故か。
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トトラの家円錐タイプ。中には布団が2組あるだけ。
太陽をイメージして作られた門。太陽を崇拝する心が伺える。

家の中には、布団しかない家もあれば、近代的な家具が揃っている家もある。 電気家具もある所もある。大きな島には学校や教会もあり、 島の生活にも多少の潤いは感じられる。 が、やはり島の人々の収入は基本的に少なく、贅沢は出来ない。 この島にはトイレもない。トイレに行きたい時は、 カヌーを使って用を足せる場所まで移動する。 排泄物はトトラの肥料や魚の餌にもなる。 これ以上にないエコロジカルな生活だ。

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ここの人々は観光客相手の商売で生計を立てている。 刺繍の入った布製品。 インカの模様を象ったネックレス。 そこに売られていたものは殆どが手作りの物だった。 3日かけて作られたというクッションカバーは3ドルだった。

image01 左:観光客用の島の看板。
右:観光客用のカヌーを漕ぐ仕事をしている男性。 土産物も作っている。
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ここの暮らしはかなり衝撃的だった。 湖に囲まれながら、それも草の上で暮らすということは、 私にとっては未知の世界だった。テレビの中の暮らしでしかなかったのだ。 しかし、そう思っていたことにも気付いていなかったのだということがわかった。 物売りのおばさんと話しをしたり、子供達と遊んだり、 家の中を見せてもらったりしているうちに、 だんだんそこの暮らしが本物なのどということを実感していった。

そこで初めて、表面しか理解できていなかったのだということに気付いたのだ。 目で見て確かめるということはこういうことなのだと改めて感じた。

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ご愛読ありがとうございます。

これで「ペルー編2」はおしまいです。

次のエピソードは「ボリビア編1」です。

引き続きお楽しみください!

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